Umi Shirano-ichijiku’s diary

一番好きな花は何ですか? 僕はイチジク(無花果)の花です。 咲いていることが見えないのですが、実の中に花が咲きます。 誰にも見られない所でひっそりと美しい桃色の花を咲かせる、 こんな奥ゆかしい花が眩しいです。

喘息と仕事。-理不尽と生きる

体調が悪くて動けないと、いつもは考えないようなことをふと考えたりする。
普段に比べて、何もできない分時間が余っているのだ。
身体を動かせないから、この暇な時間をカタカタカタカタ頭の中で物を考えることで少しでもつぶそうとしている。

 

まず考えることが有る。
何故、今この様な状態になってしまったかだ。
今、持病の喘息が悪化して、医者から極力外出を控えるように言われている。
診断書もきっぱりと出てしまった。

 

どちらかと言えば身体を動かして働きたい、現場も有る職種で働いてきた僕にしてみれば、家の中から一歩も出るな、ということは仕事も大きく制限されるしとても不安だ。
午前半休を取って病院にいったため、会社側にも報告は必要なわけで、
仕方がないし嘘や隠し事をするのも間違っているので、正直に診断書を提示した。
人情の有る社長で、さっそくその日の終業後に面談の時間を直々に取ってくださった。
覚悟はした。
制限が掛かる以上、会社としても必要な人力を満たせない社員を抱え続ける義務はない。
解雇になる可能性もあると、不安が過る。
それでなくともコロナの蔓延以降の不景気で就職先も簡単に転がっているご時世ではない。
この身体で今解雇されたら、どうするのか?
それこそ治療どころではない。
食べてゆくだけで精いっぱいになる。
下手したら食べることさえ制限をする必要が出てくるかもしれない。
多少無理な話が出ても素直に従い、会社に少しでも貢献出来なくては、生きることすらできないかもしれない...

 

就業後の社長との面談になった。
まず、社長は開口一番に「身体は大丈夫?」と身体のことを気にかけてくださった。
僕は診察を受けた内容をそのまま伝え、自覚症状よりも重いらしいということもきちんと説明した。
社長は一つ一つきちんと理解しようとして下さり、不明なところもしっかりと質問をしながら話に耳を傾けてくださった。


そして、僕が必要なことを話し終えると、しっかり頷いてこうおっしゃった。
「とにかく、今は身体を治すことが最優先だから、明日から100%在宅に切り替えよう。
 実家は病院の近くなんだよね?そちらから働いて構わないから、寧ろそうしたほうが良い。」

解雇ではなかった。
その安心が一先ず一つ重い枷を外した。
だが、それとともに、新たな不安がこみ上げてくる。
お給料は今のままでは済まないだろうな。。。


実際、予想通り、続けて社長の口からその説明が出た。
「仕事はコールセンター、1件50円で。」
月給制ではなく、完全委託型の仕事となる。

呼吸器が疾患箇所なので、あまり全力でかけまくることは難しいだろう。
リストも作りながらだから、1時間に掛けれて15件くらいだろうか...
頭の中で皮算用が始まる。
時給約750円で8時間だから、日給頑張れば6000円行けるか...
昼休みがゼロ打と厳しいから日給5000円くらいで見積もると、月給役10万円。
税金を引いて約7万円。
家賃が3万円。
残り4万円。
電気代、水道料金を引いたら約3万円。

3万円。
それが来月から手元に残る金額。
喘息治療薬で約1万円かかる。

どちらかというと小食だから、食費は1万円あれば何とか1月生きて行けるか...。

何より、引き続き雇用いただけることで、保険証も使用できるのは、
いつどこで発作が起こるかわからない身にとっては有難い。

会社近くのアパートの家賃補助も引き続き頂けるとのことなので、
いきなり全額負担にならずに済んだ。


会社にとってもっと求めるところは有ると思うのに、
それでも良い、という形で引き続き雇用していただけるだけでもありがたいと思う。

だが、それにしても、改めて昔読んだ某居合漫画のセリフが頭をよぎる
「所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ」

身体を壊せば下手をすればそのまま餓死まで頭をよぎる今の日本。
健康管理に気を付けていても、僕の様に生まれながらに呼吸器が弱かったり、体に不調や疾患を持っている人もいる。
そんな僕らは体調の急変名などからくる身体の辛さだけではなく、
症状が出たり、入院をしたら金銭的に生きていけないのではないかという恐怖と常に戦っている。


自分ではどうしようもならない身体、出来ることは限られる。
細心の注意で日々生きる。
医師と、居るなら神に身をゆだねるしかない不甲斐なさ、
嵩む治療費、

きっとこういった不安を抱えて生きている人はたくさんいるはず。

だが、実際に火中に居ない健康な人にとっては、
悪気が無くても知らない事実でもあると思う。

事実、僕には妹がいるが、彼女はほぼ病気知らずで僕とは全然違う体質をしており、
健康で、いつもニコニコしていて、綺麗な女の子に育った。
もちろん、無条件にこの世の中で誰よりも幸せを祈る彼女が幸せそうに笑っているのを見るのは、
本当にこれ以上ないほど嬉しい。

だが、若く健康な彼女は自由に外出して、大好きなTDLに行ったり、小旅行に行ったり、
そのくらいの金額を僕は生きるために最低限毎月医療費に回さ無くてはいけない。
僕はそんなに多趣味ではないから良いが、プラスアルファで娯楽が出来るほどの余裕はない。

自分で選べない個体差の有る身体が理由で、楽しいことに制限を掛ける、我慢をする必要は増える。
理不尽だと思い詰めた時期も正直あった。

 

呼吸器が慢性的に弱いのに加え、ホルモンの分泌異常も抱えている。
(身体に性ホルモンが足りないのだ。呼吸器の不全で肉がつかないせいもあって、風呂では二度見されるような発育不全の体格をしている。
二次性徴が無事ではなかったのかもしれない)
性にかかわる身体のサイクルや分泌がうまくいっていないから、爪や歯がもろかったりもする。
もちろん、子供が出来る可能性はかなり低い。
こちらも継続的に治療をしている。

いつか、母と健康の話題になった時、
「あなたは、江戸時代とかに生まれていたら大人になっていなかったかもしれないわね。
 もしくはもっと早くに死んでいたかもしれないね。現代に生まれて良かったね。」と言っていた。

確かに現代、薬が有る。
昔は無かった吸入薬、ステロイド剤委 etc...
お陰で僕は生きている。

でも、もし手に入れば、
もし治療を受けられれば、
という前提も有るのだ。

緊急入院になったら治療費をどうしよう...
そこで出費が嵩んだら、どう支払おう...
体調が治って、死は免れても、そのあとどう食べてゆけばいいだろう...
体調が悪化しないことを祈るしかない日々。

身体に不調を抱えて生きるとはそういうことだ。
もちろん、全員が僕と同じような環境にいるわけでも、同じ疾患を持っているわけでもないから、
皆に当てはまるとは思わない。
金銭的に不安なく治療できる人もいれば、もっと過酷な日々を過ごしている人もいるはず。
僕も海外で貧民層と生活で接していた経験が有るからそれがどういう状況か、
色々とこの目で見てきたつもりだ。
だから、僕はいま日本にいて、治療を受ける選択肢が有って、
そのために何とか日々働く事が出来る環境でも感謝している。
何故なら、医療を受ける選択しすらなく、死んでいった人々も知っているからだ。

 

ただ、健康で、普段こういう考えに触れる機会もない皆さんがこの文章を見て
少しでも「そういうことも有るのだ」ということを知って、ご自身の健康に感謝して思いっきり毎日を生きてほしいと思います。
僕だって、いつか思いっきり走り回れるようになる夢を絶対に捨てない。
僕は、実はスポーツ結構好きで、熱を出しながらも剣道をやっていた時期も有るんです笑

 

健康は当たり前ではなくてギフトだと思います。
毎日が貴重なプレゼントであることを忘れずに、より明るい明日を目指して進みたいと思います。

 

May all moments is always shining for you. To all beatiful Fig floweres.